働けなかった人が「何もやっていない」のか?

 

Twitterのタイムラインに興味深いツイートが流れてきました。

 

10年前に寡婦となった専業主婦がハローワークに駆け込んだら

 

「何もやって来なかったんですね」

 

と言われたというものです。

 

 

会社で働いた経験だけを物差しにすれば、ゼロだと言えるでしょう。

このツイートを見た時の、私の第一印象は「そんな言い方ある?」でした。

 

 

私はフェミニストと言うわけではありません。

人が人に対する時には最低限の礼節があるでしょう、と言いたい人です。

 

生きる為に頑張ってきたベクトルが自分と違うというだけで、専業主婦をしている方は何もしていないなどよく言えたものです。

 

私は出産・子育てほど未来に必要な投資は他に無いと思います。

保護者は資金面だけでなく、時間や体力や精神をも子供達の未来の為に投資している。

結婚すらしていない私でも、子供がお金だけ出せばすくすく育って、学校を出て社会人になって、親のように家庭を持っていく訳ではないことを知っています。

なんなら子供ってすぐ死にかけるというのも、知ろうと思えばすぐに知れる情報なんですよね。

 

そういう情報を知っているか知らないかにかかわらず、自分と違う多様性を受け止められる社会には程遠いと思いませんか?

 

私が問題だと思っているのは、10年前にこの方が言われたことと同じ様な言い方をする人が、この相談員という職種に限らず、どこにでも居る可能性が10年後の今でも高いということです。

 

さて、ここで少しデータを見てみます。

令和2年1月発表の平成30年度におけるマザーズハローワークを訪れた新規求職者は約21.4万人。

 

それに対し就職件数は約6.9万件だったそうです。

 

仕事を求める子育て中の人への就職支援を謳うマザーズハローワークで、求職者に応えられた求人が32%だったということです。

 

この事実を見て、子育て中の人が仕事に就くことはとても難しいことなんだな、と感じた方もいらっしゃるかと思います。

私は子育て中の人を始め、社会における人の多様性に対応できていない会社が山ほどあるんだと思いました。

 

一例としてデータを引っ張ってきましたが、働きたいと思いながらも働けない現状を抱えている、と言うのは子育てに限った話ではないですよね。

病気や怪我をしたり、親族の介護があったりして9時~17時で働けないという方は五万といらっしゃる訳です。

 

会社が決めたルールや社会にはびこる固定概念とやらに即さなかった人達を、現代においても社会が拒み続けているというだけではないですか。

 

最近は大企業からちらほらと働き方の多様化という取り組みが始まっているという話を耳にしますが、私としては「今更?」の一言に尽きます。

少子高齢化という言葉がずっと前からあったのに、色んな業界で人不足になっていると言われる今になって、やっとそんなことを言っているのかと。

 

勝手な推測ですが、今多くの大企業が掲げるこの取り組みは失敗すると思います。

この取り組みを進めるのに必要な人手が無い会社が多いと思うからです。

人手が無いのに誰かが「家庭の事情で時短します、その分この仕事の負担をお願いします」と言ってこられて、快く受け入れられるほどの余裕作りを怠った雇用主がほとんどだと思いますが、これを読まれている方の会社はどうでしょうか?

 

もしくはご自身が時短を要請したい立場ならどう思われるでしょうか?

 

「代わりの人が居ないから周囲に迷惑がかかる」

「忙しいのに休むと何を言われるか分からない」

 

気の弱い方ならば退職することを選択されるかもしれませんね。

本末転倒と言わざるを得ない結果になってしまいます。

 

 

働けなかった人だけが「何もやっていない」のか。

目先のことばかりで先のことを考えてこなかった社会のツケがどう巡ってくるのか。

これからもじっくり考えていきたいテーマです。

 

 

それでは。